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メモ 妄想のバブル

いろんな人たちと話すのは面白いなあと思う。
学者、投資家、経営者、起業家、コンサルタント、コーチ、デザイナーとか。
みんなそれぞれ考え方が違う。

考えるか、感じるかというアプローチの違いもあるし
大きさを求めるか質を求めるかなど目的フォーカスも違う。

印象的だったのは、デザイナーの方の言葉で
「抽象的な記号への反応が強いのはunsophiscatedだ」という話。
最近、仕事で金融的な視点とか投機・ギャンブル志向性を持つ人の分析をしていたんだけど、
そういう記号・数字への偏重は”原始的”な欲求ということらしい。

抽象思考ができることは”ビジネスパーソン”や、学者にとっては重要能力であり、
ある”洗練”と捉えられているのを感じてきた。
一方で、抽象に閉じた欲求が“原始的”であるというのにも頷ける。

いや原始的というか、”近代的”な感じがする。
科学の進展とか高度成長とか大きな変化の時代があって
そのスピードで物事に対処していこうとすれば、記号化された“本質”で扱わざるを得なくなった。
身体感覚で対応するには速すぎるスピードで、大きすぎる対象を扱っている。
次第に、身体では理解できないものを記号的に扱うことが日常化していく。
古い例だけれどヴィトンの質の良さを感じられない人がその記号を持つ。
記号に圧縮された”本質”は、脳にとって強い刺激をもたらすから、
刺激を求める人間は、”非効率な”身体的活動を軽視するようになる。
身体機能は衰え、抽象的な妄想と現実の乖離すら見て見ぬふりをするようになる。


記号に閉じた世界は刺激的で効率的に没頭しやすい。
記号に反応し、記号を操作する。実体は省みられない。

二次元キャラに萌えて現実社会をおびやかすオタクと、
マネーゲームに燃えて実体経済をふりまわす”資本主義”は同じ構造なんだと思える。
論理を突き詰めて発狂する哲学者も
フレームワークを振りかざして空回りするコンサルタントも似たようなものだろう。

妄想のバブルはいつかはじける。


身体感覚、精神性、美意識、記号に閉じない感覚を取り戻す必要がある。
そのために、スピードは一旦ゆるめることも必要なんだろう。
成長を前提としないゼロ金利の時代はそのチャンスなのかもしれない。
by kuniakimat | 2008-12-19 12:49
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