監訳メモ あとがき


監訳者あとがき――フィードバックは個人とチームを育てる技術である



 本書の監訳に携わらせていただいたことを、心からうれしく思う。コンサルタントとして多くの顧客企業や自社の課題に向き合ってきたなかで、フィードバックの重要性をかねてから強く感じていた。組織が問題を抱えている時は必ずといっていいほど、その原因の中にフィードバックの機能不全が見つかるのである。これほどまでに有用でありながらきちんと学ばれていない方法、スキルはほかにない。
 
 いま、フィードバックを学ぶことが、マネジャーやリーダーの役割を担う人にとって、いっそう重要になってきている。今日のビジネスにおいては、ポジションパワーで人を従わせて動かすことよりも、チームとして機能的に協動することが多い。ところが、そのなかで人を育てたり、人を生かすことのできないマネジャーやリーダーが、増えているのだ。良きビジネスパーソンとは、個人の知識や技能を高めているだけでなく、良きチームプレーヤーであり良きチームリーダーでなくてはならないことを、再認識する必要があるだろう。
 このところ注目されることの多くなったコーチングと、フィードバックの違いについても触れておきたい。フィードバックは、より適時的、相互的で、課題解決的である。それは日常的な協働のなかで行われ、個人の成長だけでなくチームの成長も促すものである。だからこそ、コーチングが上司や外部者から提供されるのに対し、フィードバックはチームの構成員それぞれがその方法を習得し、相互に実践することが重要なのである。

 しかしながら、これまではフィードバックという方法がなかなか理解されず、意識的には身につけられてこなかったように思われる。本書の監訳を通じてあらためて強調したいのは、フィードバックは学習し習得することができるスキルであり、それを実践することはすべてのビジネスパーソンに求められる基本動作だということである。

 本書は、多くの人がフィードバックを学び始めるのに適した入門書である。これまでフィードバックをあまり意識したことがない人にも、その方法をわかりやすく解説してくれる。身近なビジネスシーンを設定したケーススタディを通じて、フィードバックの実際が感覚的にわかるので、その重要さや課題への気づきが得られるだろう。私自身も読み進めるなかで、自覚していなかった過去の失敗に気づかされることが少なからずあった。新卒で入社した会社で自分が成長に行き詰まっていたときのフィードバック受け入れ姿勢の問題、新しい職場でチームのやり方を変えようとしたときのメンバーの反発や改善のなさなど、自分が直面し、頭を悩ませた問題にも、この方法をきちんと知っていればもっとうまく対処できたと思う。
 本書はまた、コンパクトで実用的なガイドにもなっている。実践的な方法が示されているので、フィードバックの阻害要因である「気まずさ」や「気おくれ」も解消することができるだろう。難しい状況への対応ポイントやツールも用意されているので、フィードバックの実践にすぐ活用できる。

 ぜひ多くの方に本書を活用していただきたい。そしてフィードバックを実践し、成果を上げ、強いチームづくりにつなげてほしい。フィードバック力が高いチームは、相互に改善させ高める継続的な営みを通じて、たくましい成長力を持ったチームになるはずだ。

 2008年2月

                                   松村有晃



c0040873_11571596.jpg『フィードバックの技術で職場の「気まずさ」を解消する』
2008年3月8日発売 
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by kuniakimat | 2008-04-16 22:39 | ★★★ | Comments(1)
Commented by cheap oakl at 2014-07-22 07:03 x
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