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「自分と他人と世界のことは、自然の姿に学べばいい」 遠くを見たくて氷を積んだら 泉の水が乾いてしまった。 泉の形を隠していたら 水路が閉じて流れが絶えた。 深く掘ったら世界に通じた。 川は流れて氷は溶けた。 水は交わり熱して浮いた。 乾いた世界に雨を降らせた。 ********* イメージはたくさんの気づきを全体の調和に溶け込ませている。 心に美しい自然のイメージを抱こう。 ********* <不確かな命> 真ん中を想うとき、真ん中に迫れば迫るほど、 やっぱり真ん中にある問い。 生きるってどういうことなんだろう。自分って何なのだろう。 突き詰めると、 それには答えがないのだと思う。 だけれども、 それが答えなのだと思う。 生命の本質は、それがよく分からない、というところにある。 今の状態が解き明かされることはないし、ましてや先のことは分からない。 その不確かさこそが、生命の条件ともいえるものであり、 僕らが生命を愛おしく思うのはその不確かさ故なのだと思う。 確定された何か、というものは、 もはや死んでしまっているようなもので、 僕らはもう関心を抱かなくなる。 どうなってしまうのか分からないからこそ、 面白さ、魅力を感じるのだ。 それは例えば、 相手の気持ちが分からないからこそ恋愛に夢中になったり、 将来に幅のある子供だからこそ大きな愛情が注がれることでも分かる話だと思う。 (だから何でもかんでも決定を急いだり コントロールしようとするのは 命を削っているようなものかもしれない。 例えば、確固たる自分らしさや、 人生のゴールなんて本当に、必要だろうか。 もし普遍のアイディンティティや揺るがない関係、 みたいなものがあったとして、 そんな”モノ”に本当に熱くなれるだろうか。) ーーー <水のイメージ> 不確実に流動的であるものとして、 水のイメージで捉えたいと思う。 流れる水に確かな形はないし、その中身は絶えず入れ替わっているけれど、 それは水としてそこに在り、あり続けている。 生命はそういうものだと思う。 ーーー <つながっている泉> 生命がそんな水のようなものであるとしたとき、 自分というのはどんなものなんだろう。 僕という泉は、外周と深さを僕のものとして持っているけれど、 その中にある水としての生命は常に入れ替わっている。 もらうこともあるし、渡すこともある。 混ざり合うのだし、共有しているのだと思う。 自分も他人も同じものだ。 大きな風景のなかで泉の水は互いにつながっている。 生命は共有されている。 時間の流れのなかでみると、 そもそもは間違いなく親の泉から流れ込んできたものであるし、 ゆくゆくは自分も子孫へと受け渡していくものだ。 だから、僕らは命を預かっているだけなのだと思う。 自分らしさとして僕らが扱える範囲は 預かった命の水をどんな状態にしておくのか、なのだろう。 ーーー <氷の塔> 僕の泉は、となりの泉との間に川を作り、 水のやりとりをすることができる。 それは、自然なやりとりであり、温く、気持ちよいことだと思う。 ただ、つながることができるのは川で通じる近くの泉だけになる。 水は遠くを見渡すことができない。 近所を越えてもっと多くの他者との関係を考えるときに 僕らは普遍や不変を求め始める。 角ばった形があれば、構造を組んで積み上げることができる。 水を凍らせて四角い氷を切り出せば、自分を高く積み上げて、 そこから広くを照らすことができるようになる。 これは多くの仲間に関係するマネジメントや 遠くの他者への戦略を立てるうえでとても役に立つ。 そういう理由で僕らは普遍的な言葉、というものを作り出し、 数字という形式を用いるようになった。 論理を用いて考える、というのは氷を上手に積み上げることである。 分別する、切り分けるというのは、氷の世界でしか通用しない。 不確実で流動的な生きた水の世界では、切り分けることなんてナンセンスなのだから。 不確実性の低減を目的として、論理での普遍化が行われるのだけれど それは命を減らすような行為かもしれないな、と僕は思う。 氷を作るとき、その分の水が、生きた泉から汲み上げられているものだから。 想いを言葉にして説明しようとするときに 何かが損なわれてしまうような感覚は、多分そういうことなんだと思う。 だから、あまり考えすぎるのはよくないよ、と思う。 水がなくなった硬い自分では、他者とのやりとりもできなくなってしまう。 ーーー <深い水源> 自分の形を捉えるとき、目に付きやすいのは氷の塔だけれど、 本当の形は水の下のある泉の形なのだと思う。 それは、掘り進めることで変えていくことができる。 泉の底を掘り進んでいくと、 そのぶんだけ泉の容積は大きく豊かになるし、 地底にある水脈に通じることもできる。 深い地下では、 周囲の泉と繋がることもできて、 もっと深くでは、 民族、人類、動物、と、 より大きな範囲で 共有する水脈と 一つになることができる。 底には光が届かなくて暗いから、心で感じて掘っていく。 言葉や分別を使わずに共通の本質に迫っていく。 ーーー これは、自分自身の暗黙の前提を掘り下げる、深めていく思索、という行為であり、 前提を仮構して論理を積み上げる、高めていく思考、とは逆の取り組みになる。 だから、思索と思考は同時に行うことが原理的に困難なのだ。 (論理を積み上げる人は、世界を見渡すことはできても、世界とつながることができない。) ーーー <空に浮かぶ雲> (日常的ではないけれど) 水は熱くなって蒸発することもできる。 水蒸気となった命は 自分の形という囚われから解放され 自由に空を飛ぶ。 空は世界そのものを包んで やさしい雨を降らせることができる。 そういうものをアートと呼ぶのだと思う。 形や力を忘れ、それ自体に意味をもつもの。 (ビジネスは論理の氷を積み上げて 高みを目指すけれど、 自由に空を飛びまわるアートに 憧れを持つ) ーーー <イメージの自然さ> 僕がこのイメージが好きなのは 自然に拠っているだからだと思う。 自分の命である水はいろんなあり方をすることができる。 高く氷を積みあげるのも楽しいだろうし、 深く水をたたえるのも安心感があり、 他の泉に流れ込んだり混ざり合うのも気持ちがよいだろう。 どれもいいと思うし、どれか一つが大切だというわけではない。 ただ、大切なのは、それが自然の一部として調和しているかどうか、なのだと思う。 (それを「美しさ」と定義してもいい) イメージで想うことが役立つのは、 調和の美しさを観ることができるからだろう。 深く大きくあること、 つながった泉の群として水位を共有すること 気持ちよく湿り、流れあうこと 浄化作用のある自然を持つこと 自然な水として美しくありたいと思う。 ーーー関連記事ーーー 意味の見出し方について (Ⅳの「流泉」は、Ⅲの「三想」と半分くらい同じことを言っている。 もともとは三想という理性のフレームを、悟性のイメージに翻訳しようとして 水の自然観にいたったんだと思う)
by kuniakimat
| 2006-01-18 00:03
| 人生観
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