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元旦メモ 40代に向けて(チャート付)

 ひさしぶりに文章を書こう。僕はまもなく40才になる。人生50年の江戸時代なら8割、今の平均寿命でも折り返しだ。たしかに社会、組織での役割にしても、体力や心のあり方としても、違うフェーズに入ってきているのを日々感じている。

 30代を振り返ろう。僕の30代は関係の10年だった。結婚に始まり、組織の仲間作りに邁進した10年だった。失敗の結婚、その関係解消の数年間、人間の善とは言えない側面に向き合うよい機会になった。畢竟、完全に善な存在などない、よい部分に都合よく光をあてているだけだ、ということを悟った。寄生も邪悪も怠慢も利己も、世界中に普遍的に存在している性質であり、それはもちろん自分自身にも当てはまる。地球にとって人類は善であるか、太陽にとって僕らは何か貢献できる存在であるか。人間はそんなに真っ白な存在ではない。

 この経験から、人間の関係への欲求について理解することになった。人生の発達フェーズによって相手に求めるもの/自分がとりたい位置、というものが変わっていく。人は強く、優しくなっていく。(一方で、そういった成熟をよしとしない個人主義も強まっている)

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 32歳から参画した楽天ではずいぶん面白い仕事をさせてもらった。巨大なアセットを活用して顧客関係を深めるマーケティング戦略。それ自体もチャレンジングだったが、それをやりきるための組織を育んでいくのが何より面白かった。有志のプロジェクトから始まった顧客戦略は、挑戦と成果を積み重ねながら、グループになり、部になり、70人からなる統括部に育ち、百億円規模の全社マーケティング群を担うまでになった。メンバーの満足度は85%という突出した水準になり、成果の質は2017年の年間最優秀社員(2万人中1組)を輩出するまでにもなった。
 一つのことを続けることには忍耐がいる(飽きることもある)、けれど継続して育まれた人材、文化、組織の持つ力と価値の大きさと喜びを実感した7年半だった。
 
 先述の個人間の関係のあり方と同様に、よい組織を作るには、力(価値創造)と心(組織への絆)の両方が大切だということを実感している。さまざまな人材で作る組織において、個々の役割のありかた、あるいはあってはいけない領域を理解しておくことはとても有用だった。成果を上げる組織にとって重要なのは、スキル以上にマインドセットであり文化である。ここでも大切なのは与え(利他性)、祝福する心。

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 来る40代。また前に進んでいこうと思う。よきものは継続しながらも新しい領域に挑戦と責任範囲を広げていく。公私に新しい領域にチャレンジしよう。仕事領域としては、本格的に人事について学び、取り組んでいこうと思っている。

 社会も企業も、本当によくしていくには人間の力、組織の力を高めていくしかない。21世紀、企業組織はよりエコシステム的な形態に進化していく。エコシステムは、働き手の力が引き出されることで、価値が生まれ、その価値が顧客関係を育くみ、顧客関係が収益や企業価値の形で貸し手に還元されていくというシステムだ。けれど、今の日本では決定的に働き手の意欲が引き出されていない。働く喜びを失った日本(これは僕の主観ではなく、他国比較の統計からの事実として)。このままでは世界で競争力をもった価値を創出できるはずもないし、働く喜びの欠如が日本人の幸福度の低さにもつながっているんだろうと思う。

 人間の幸福についてはマズローの段階説がよく知られている。僕は段階論も好きだけれど、それ以上にシステムとして捉えるほうが好きだ。段階が理解して、待つものだとすれば、システムは理解すれば能動的に駆動することができる。(全体を肯定し、同時に部分・役割を肯定し、ボトルネックを解き、良循環を駆動させる働きかけができる。)
 経済活動(生産と消費)を通した幸福や、働く喜びについて、今一度、まっすぐに肯定したい。なぜだか、今の”働き方改革”は生産を否定的なものとして捉えてしまっているように思う。

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 幸運にも、30代に働く喜びのある組織を作ることができた。自部署で体現してきたことを(吟味しながら)、会社全体に広げ、そして日本全体、必要であれば世界全体にも広げていきたいと思う。どこまでできるかは分からない。けれど、そこに間違いなく大きな課題があり、自分にはそれを解く意思がある。やってみて学びながら大きくしていくしかない。

 (こんな話を東大経済学部の授業でもさせて頂く機会があった)
 

 楽天という会社は、新しい時代の仕事のありかた、組織のありかたを、率先して実験、体現して時代のロールモデルになっていくべき存在だと思っている(その希望を持てる会社は、残念ながら多くはない)。そのために、10年後、さらに大きな存在である楽天をリードしていく100人の幹部チームが必要になるだろう。その100人をこの10年をかけて育む流れをつくっていきたいと思う。


 プライベートでもこれまでと違った経験を積んでいきたい、海外に住むこと(NY)、美術・教養の学校で学ぶこと、ゴルフを楽しむこと、フレームアートを磨くこと、文章表現で世に出すこと、生涯の仲間を作ること、健康でいること、などなど。
指針として、いくつか列挙しておく (もう少し整理する予定)

  •  気持ちよく、面白く、有難く、生きる
  •  覚醒していること。発てば覚める、立てば見える、発てば昇る
  •  体心頭財子を統合的に共有していく
  •  意識のコアをコントロールする
  •  生を楽しむ
  •  大事なことを大事にする
  •  Life tour guide になる
  •  日本人を幸せにする。働く喜びを回復する
  •  自然原理を活用する
  •  深い智慧に近づく
  •  力と心と光

2018年、40代もいい時間をすごそう。
気持ちよく、面白く、有難く。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

by kuniakimat | 2018-01-02 11:13
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